「認知科学」関連の出版が増えている!?

記憶力が少しずつ衰えてきているようだ.記憶の衰えは知力の衰え,知力の衰えは思考力の衰えへと続いていくのだろうか.

だからこそのMnemonicなのだが,日常の作業に追われてすっかりご無沙汰だ.常勤職についてからこの6年の間に,新しいことを学ばなくなった.手持ちの駒で姑息に勝負していたが,もうそれも限界だ.論文が出せない.紀要やProceedings, 学会発表止まり.かなり深刻な状況だ.心機一転.学び直しの時期だ.

最近,職場の専門外の同僚から,「認知バイアス」という言葉をよく耳にする.また,「あの人はちょっと認知に問題があるんじゃないの?」などという会話も耳にする.あれ,いつの間にか「認知」という言葉が普通に使われるようなったのか?「シミュレーション」しかりである.「あたなの使っている認知って,どういう意味ですか?」と定義を尋ねたくなってしまうが,まあまあまあ.単なる予測みたいなものを「シミュレーション」とやたらに使いたがる人もいる.「どんなモデルを想定しているのですか?」といじわるな質問をしたくなってしまうが,そこも,まあまあまあ.なのだ.

最近,「認知科学」とか「認知」と名前のついた一般書が数多く出版されていることに気づいた.2014年くらいから増えてきているようで,2020年に出版されたものでは以下の3冊が目に止まった.

 

イラストで学ぶ 認知科学 (KS情報科学選書)

認知バイアス 心に潜むふしぎな働き(ブルーバックス

表現する認知科学(「認知科学のすすめ」日本認知科学会) 

 
「イラストで学ぶ」シリーズが出てきたのだから,本格的に一般化しつつあるのだろう.開けて見ると,認知心理学脳科学情報工学,という内容だ.領域横断的に研究を進めていく分野とあるのだが,個人の小さい研究室で進めていくのは難しい.
 
書籍のタイトルに,「非認知能力」「認知脳科学なんて言葉も使われている
 
「非認知能力」:non-cognitive ability, non-cognitive skill
「非認知的能力とは、例えば、目標に向かって頑張る力、他の人とうまく関わる力、感情をコントロールする力など」とある.
アメリカの教育界で指摘されてきたそうだが,その考え方の適用については議論が続いているらしい.

 Non-cognitive skills: Definitions, measurement and malleability

 https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000245576

 
情動知能のように,測定は難しそうだ.
 
その他,日本認知科学会が,新曜社から「認知科学のすすめ」シリーズを出している.どれか読んでみようか.